錺(かざり)職人について

今回は錺(かざり)職人について

当店の店主やお弟子さんの技術を交えて紹介させて頂ければと記事にさせて頂きました。

 

当店の店主はこの道40年以上の錺かざり職人であり、

かつて日本で5本の指に入ると言われた貴金属加工技能講師(故)川﨑俊二氏に師事し鍛造による加工技術を修練、後に独立し齋藤宝石を立ち上げるに至りました。


錺職人とは、簡単に言えば「金属加工の総合技術職」と言えます。

あらゆる金属加工の職人さんを一人で何役もこなしている、

と言えば分りやすいかもしれません。

 

現在のように機械による製造や鋳造が一般的となるより以前の

宝飾職人や彫金職人などの職人とは、

この「錺職人」の技術の一つを受け継いで独立していった人たちなのです。

 

つまり金属加工技術の総本山、親元でもあります。

熟練した錺職人にとって金属は粘土や紙などとも同じように扱えます。

加工できない形はほとんどなく、

作れと言われれば、その通りのものを金属で作る。

それが「錺職人」です。

 

昔はかんざし、指輪に限らず、煙管や鎖、家や輿の装飾、

はてはお金(硬貨)など様々なものを手ひとつで作っていました。

今でも、昔の職人が作った鋳型などを現代にいたるまでずっと使われているものもあります。

 

当店の店主も錺職人として、あらゆるものを作るだけの技術を磨いて参りました。

特に宝石の奥深さや宝飾の繊細さに魅了され、宝飾にその「錺職人の業わざ」を使うようになり、その道を極めんとし、今に至ります。

当錺職人の技術の一例をご紹介いたします。


こちら上記の左の画像は、普通のA4コピー紙の厚みをノギスで測ったものです。

(A4:0.07mm)

右の画像は、一般のティッシュ1枚(二重になっているもの)をノギスで測ったものです。

(ティッシュ:0.04mm)

数値からも非常に薄いものであることがお分かり頂けるかと思います。

このような画像をお見せ致しましたのは

錺職人の技術の一つとして、金属の板をごく薄く、金槌だけで0.0何ミリという紙以下の薄さまで叩いて伸ばすというものがあり、それをご覧頂きたくにあたり、

まず、はじめに紙の厚みを確認してもらうためであります。

 

そしてこちらの左最上段の画像は

銀を金槌(かなづち)で叩いて薄く、

伸ばしたものでございます。

 

 

 

 

 

ノギスで厚みを測定させて頂きますと

0.05㎜の厚さであることがお分かり頂けるかと思います。

 

 

 

 

 

更に薄く延ばして0.01㎜まで薄くすることも可能でございます。


この薄く叩いて伸ばすという技術は色々な金属加工に利用することができます。

例えば、この「紙より薄い金属の板を作れる」という技術が、

一般の方にもわかりやすくどのような作品につながるかというと、

今回の記事のサムネイル(タイトル画像)にもなっておりました折り紙のような鶴でございます。

 

こちらの折り鶴は銀紙で折ったのではなく、先ほど紹介いたしました、

銀を薄く延ばしたの板から作っております。

 お弟子さんの作品です。

 

ちなみにティッシュと同じ厚さの銀(0.03㎜~0.04㎜)ですと、折っている最中でぱっきり折れてしまいます。

 

均等に0.02㎜の厚さの銀板を作るのですが、

何度も金槌で叩いて締めるため、熟練していないと、その時点で裂けて、割れてしまいますし、

たった0.01㎜の厚みで、できるかできないかが変わってしまいます。
正確で精密な「技術」がなければ生まれなかった作品、ということです。

 

また、折り方は展開図から作って、完全に紙の物となるように工夫もいております。

ですので、裏から見てもしっかり折り鶴です。




こちらは別のお弟子さんの作品ですが、

応用するとこのような細工を施すこともできます。

このような繊細な作りは機械づくりではまだまだ再現のできない

手作り独特のタッチが必要であり、錺職人の技術の特徴でもあります。

 

しかし、このような技術は失われつつあるものでもあります。

機械化が進み、宝飾品などの製作はある程度の器用さがあれば、

高度な技術はなくとも一般的なものは作れる時代です。

 

この業界におきましては、技術はより手軽さへ向け進歩して行き、

逆に時間と手間のかかる高度な技術を施せる職人は少なくなってきている気もします。

昔おられた、高度な技術をもった、

貴金属の彫師さんなんかも最近はなかなかお見受けできないと聞きます。

 

ただ形にすることがゴールではなく、トラブルが起きた時、

壊れた時を考慮し、直すことを考慮したデザイン、構造であるべきだと私どもは考えております。

作りっきりで壊れたら新しいものを提案しながら、長く寄り添えるジュエリーをうたっているようなところも時々見受けます。 不思議です。

 

自ら作り出したものは最後まで面倒をみる

それが職人というものではと思います。

 

現代でもなお、痒いところまで届く技術は人の手で無くては届きえません。

そういったご要望に応えるための技術には熟練が必要であり、

その手段を得る機会がお客様や職人にすら、

失われつつあることは非常に嘆かわしいことでもあります。

難しい修理は断られたり、昔の高品質なジュエリーを現代の安価な大量生産のものへと

リフォームしてしまうという内容のご相談を受けさせて頂くことがしばしばあります。

 

多くの場合、取り返しがつかなくなってしまっていることが多いのが現状です。

これは非常にもったいない気もしますし、そういった環境であるからこそお客様にもジュエリーの造りや構造などをしって頂けたらと感じてしまいます。

 

手間と根気のいる作業であるが故に尊い技術をより多くの方々にその手に取って頂きたく、また、後世に伝えていくために店主は講師もしております。

 

今回、飾職人について記事にさせて頂きました。

当店の錺職人は宝飾品、一般的な指輪やネックレス、ピアスだけではなく、

紹介させて頂いたような細やかな細工も製作できますし、それをジュエリーに施すこともできます。

 

ですので、簪(カンザシ)や帯留めのような、宝飾品でないものも含め、

お困りのことございましたら、素材が貴金属である限り、

一見できないのではと思われることや無理ですと、どこかで言われてしまったことも

諦めてしまわれる前に是非、一度、ご相談くださいませ。

 

ご紹介させて頂いたような銀細工につきましても

ご興味もって頂けましたら、お気軽に質問やお問い合わせくださいませ。

 




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